さる3月15日、発達心理学会24回大会で開催された公開シンポに参加しましたので、ご報告いたします。
2013年3月15日午前10時~12時
日本発達心理学会第24回大会(明治学院大学)公開シンポジウム
「心理職の国家資格の展望と課題」参加雑記
開始時刻の10時にはすでに300名近くの参加者で会場は埋め尽くされていました。
とはいえ、昨年の国会内で開催された会議ほどではなかったというのが正直な印象。
まず、自民党の河村健夫元文科大臣が挨拶。これまで心理職に国家資格がなかったこと、2資格1法案がぼつになった経緯への自民党の関わりについて熱く15分話しました。
丁寧な口調で、しっかりと私たちをみつめ、今度こそ国資格法案作るために一致団結しなさいよというメッセージでした。
次に、心理臨床学会理事長の鶴光代先生、LD学会理事長の上野一彦先生、発達心理学会理事長の子安増生先生が、心理師国家資格のイメージを具体的に話されました。心理師資格法案化の歴史を、法的課題、さらには心理師養成カリキュラムの具体の内容にまで踏み込んだ話が聞けました。
キーワードは、サイエンティスト・プラクティショナー・モデル(SPM)。心理療法の流派にこだわらず、どんな心理的問題を抱えたクライエンとに対して、どのような方法を用いて関わると効果があるかを科学的に評価するというスタンスのこと。
このキーワードによって、各種学会認定の心理職資格をもった人々が一つになって、基礎資格たる心理師国家資格を実現しようというもの。
第一の課題としては、養成カリキュラム的には実習(学内、学外)の量と質確保の問題が第一に挙げられました。養成大学院のカリキュラムに、ドイツ並みの千数百時間もの学外実習を課することは可能かなど問題はこれから。またインターン制度となると、昔の無給研修医制度を想起させ、少し嫌なイメージがわきました。
第二の課題としては、EBM(実証に基づく医療)の立場から、心理アセスメントの重要性が増すことからくるもの。クライアントと関われても、査定が出来ない人がいます。査定はできても介入できない人もいます。これじゃだめで、両方できなくてはならないかの問題。棲み分けがいいかもしれないなど、実際の心理師のイメージをどうするかの課題。
心理師は医師や看護師と同様、最低限の知識を技量を評価して国資格を与えられたものであり、専門家ミニマム「心理師」。そのために、はたしてどんな査定法、どんな介入法を、どのようにして訓練するか。
このようなことから、研修センターを4月1日づけで研修センターを設立し、各種研修プログラム作りから試験の実施など、生涯にわたる心理師教育を続けることが必要だと論じられました。
この後、指定討論薬の、学校心理士会会長の石隈利紀先生と、心理臨床学会副理事長の下山晴彦先生が名調子で、心理学ワールド一本化にむけた課題について語られました。
以上
文責:山田冨美雄
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